私たちは夏のアートキャンプにて、若狭・熊川宿のすみずみを歩きました。町の人にとっては見慣れた風景の中にも、外から来た私たちだからこそ気づけた小さな発見がありました。
そこで出会ったものたちは、手を加えるよりも、そのまま渡したい。私たちが感じた驚きや魅力を、鑑賞する人にもまっすぐに味わってほしいから。
その一つひとつの行為を通して、熊川宿という場所が、ゆっくりと語りかけてくる――
そんな体験を、あなたにも届けたいと願っています。
私たちは夏のアートキャンプにて、若狭・熊川宿のすみずみを歩きました。町の人にとっては見慣れた風景の中にも、外から来た私たちだからこそ気づけた小さな発見がありました。
そこで出会ったものたちは、手を加えるよりも、そのまま渡したい。私たちが感じた驚きや魅力を、鑑賞する人にもまっすぐに味わってほしいから。
その一つひとつの行為を通して、熊川宿という場所が、ゆっくりと語りかけてくる――
そんな体験を、あなたにも届けたいと願っています。
熊川宿は、江戸時代に若狭と京都を行き来する人や物でにぎわった宿場町。この町には、景観や町を守り伝える「有形の保存」があり、その営みの中から、人と人とのつながりが生まれてきました。かたちあるものを支えるのは、かたちのない想い。そして、その想いがまたかたちを守り、未来に受け継いでいきます。そんな、「有形」と「無形」がたがいに支えあう循環こそ、熊川宿の静かな魅力なのだと私たちは感じています。
若狭和紙には、受け継がれてきた形と、人と人とのつながりが息づいています。いま、この和紙を漉いているのは、ただ一人、職人の芝さん。芝さんは、縦と横に漉くという伝統的な若狭和紙の形を守りながら、その風合いや佇まいに、自分ならではの個性を宿しています。それは、母の味に似ています。おばあちゃんの味とお母さんの味が少し違っても、どちらも「母の味」と呼ばれるように、芝さんの和紙もまた、親から子へと受け継がれるつながりの中で生まれた、無形の伝承のかたちなのです。