SCROLLはじめに
福井県若狭地方で受け継がれてきた若狭めのう細工は、めのうの原石を加熱する「焼入れ」という独自の技法によって現れる、炎を内に宿したかのような色彩と、独特の佇まいが特徴です。
本プロジェクトでは、作品を「観る」だけにとどまらず、体験を通じて、若狭めのう細工の造形を支える発想や技術、その背景にある自然や文化への理解を深め、伝統工芸の新たな魅力を再発見することを目指します。
みどころ

熊川宿でつくる、わたしの若狭めのう
めのうの色や模様をイメージした石鹸素地を、景色や生き物などに見立てて、少しずつ削り、磨いていくワークショップです。
模様や色を生かしながら形をつくる面白さを体験するとともに、素材の個性を見極め、少しずつ削り出していく若狭めのう細工の技術や職人の眼差しに触れることができます。完成した作品はお持ち帰りいただけます。

光のなかに積み重なる記憶と風景
若狭めのう細工の素材となる、めのう。その美しい縞模様や色彩は、鉱物が長い時間をかけて堆積し、幾重もの層を形づくることで生まれます。
本作品では、めのうが形づくられていく過程を、熊川宿に広がる地形や空間に重ね合わせます。透過性のある素材が内側に少しずつ折り重なり、光を受けることで、色や奥行きが移ろっていきます。
目の前の風景が、「何かが生まれ、積み重なっていく場所」として立ち現れる。その光景を通して、若狭めのう細工の美しさの奥にある、めのうが育まれる時間に思いを巡らせます。
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問いからひらく若狭めのうの歴史と生活文化
美しい色や模様を持つ若狭めのう細工の背景には、長い歴史の中で培われてきた加工技術や、人々の暮らしと結びついた文化があります。
本企画では、新たに制作した「問いカード」と「すごろく風冊子」を通して、若狭めのうの歴史や文化に触れる機会をつくります。知識を一方的に伝えるのではなく、問いを通して好奇心を引き出し、若狭めのうの美しさの奥にある歴史や人々の営みに目を向けるきっかけとなることを目指します。
また、8月に若狭地方で実施したリサーチをもとに、若狭めのうの新たな可能性を探り、これからの暮らしに調和するプロダクトを提案します。若狭めのうが受け継いできた技術や魅力を見つめ直し、現代の暮らしとの新たな接点を生み出すことを目指します。
くわしく見る →若狭めのうの歴史
玉づくりのはじまり
若狭彦・姫の両神社の建立にあたって、鰐族(わにぞく)が潮干珠・潮満珠を作って祭祀を行い、その後、社の前に住みついて、玉造りを生業としたことが起源といい伝えられています。
若狭めのう細工のはじまり
当地の高山喜兵衛が浪花(大坂)に出て、眼鏡屋に奉公中に丸玉製造の技を修得。帰郷後にこの事業を始めたのが、若狭めのう細工のはじまりと言い伝えられています。
工芸彫刻と名声
中川清助が技術の改良に苦心し、玉造りにとどまらず、さまざまな工芸彫刻法を考案。販路の開拓にも努め、国内外の美術博覧会などに出品して、めのう工芸の妙を広く紹介しました。そのたびに褒賞を受け、若狭めのうの名声は、国内はもとより海外にまで高まりました。
北海道の原石を共同採掘
原石を北海道に求め、共同で採掘するようになりました。これを機に、業者が一致団結して、技術の改良とデザインの研究を積み重ねてきました。
原石の枯渇をこえて、伝統的工芸品に
戦後、北海道の原石の枯渇などにより産地の先行きに不安が生じ、約300人いた従事者の離職が相次ぎました。昭和51年6月2日、通商産業大臣より伝統的工芸品に指定されました。
いまも続く、めのう細工
現在、職人は上西宗一郎さんただ一人。仏像や唐美人、各種の動物の置物をはじめ、香炉、花瓶、灰皿、ブローチ、イヤリング、ペンダント、指輪、ネックレスなどが作られています。
若狭めのうの製造工程
原石から作品になるまで、8つの工程を経て作られます。
ワークショップでは石鹸を瑪瑙石に見立て、
小切り・磨きを擬似的に体験することができます。
STEP 01検石けんせきどのような細工に適しているか判別します。
STEP 02大切りおおぎり弓式切断機で原石を切断します。
STEP 03野晒しのざらし原石の内部まで自然酸化が進むまで、置いておきます。
STEP 04焼入れやきいれ石の色彩を鮮やかに発色させる方法。職人の腕と勘が必要な、繊細な作業です。
STEP 05小切りこぎりどのように加工するか決め、ダイヤモンドカッターなどで余計なところを切断します。
STEP 06欠込みかきこみ釘のような鉄を当てがい、小槌で叩きながら形を整えます。
STEP 07削りけずり荒削り・中砂・仕上げ削りの順に、砂を細かくしながら形を仕上げます。
STEP 08磨きみがき泥磨き・仕上げ磨きを行い、深い透明感を引き出します。