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過去の建物を転用したユニークな美術館として私の頭に浮かぶのはテートモダン美術館。発電所の空間を美術館に見事に変えたのは驚きだった。日本での初めての発電所美術館とも言える下山芸術の森発電所美術館は旧黒部川第二発電所の施設を活用し改造されており、特に発電用タービンや導水管が残された展示スペースはアーティストに魅力を感じさせる空間に違いない。私は テープ起こしをするまで下山芸術の森発電所美術館を全く知らなかった。
テープ起こしをしていると、学芸員長縄さんと岡部先生の会話から少ない予算にも関わらず企画からカタログ作り、展示作業まで献身的に働く学芸員さんのこの美術館に抱くヴィジョンと情熱が伝わってきた。
廃墟直前の建物であった発電所美術館はアートという力で生まれ変わり、また新たなアートを生み出し発信する場として将来に果たしうる役割は大きい。発電所美術館を訪れる多くのアーティスト達がその特殊な空間にインスピレーションを与えられ、新たな作品を試みる場――日本の現代アートの出会いの場として愛され続けることを大いに期待してやまない。
(インビョル)